【ラノベ研究】電撃文庫の『狼と香辛料』を読んだ

こんにちは。
ライトノベル作家を目指し、印税生活を夢見るしかたなすびです。

今日は、電撃文庫の『狼と香辛料]』について、この作品の魅力や、あらすじ、面白かったところなど、私自身のライトノベル研究のための記録として記事にしました。

また、私と同じように、ライトノベル作家になりたい人にとっての参考になればと思います。

狼と香辛料 (電撃文庫)

この作品は、2005年に第12回電撃小説大賞の銀賞を受賞しています。

※なお、この記事は多少のネタバレを含みます

ストーリー

まずはストーリーを簡単に。



  1. 主人公とヒロインが出会う
  2. 事件の発生(儲け話に関わるトラブル)
  3. ピンチを乗り切る(ヒロインも主人公も、命を懸けてお互いを守ろうとする)
  4. 主人公とヒロインの関係性が深まる


『狼と香辛料』は、なんといってもヒロインが魅力的です。

一人称視点を生かし、主人公から見るヒロインの魅力が事細かに描写されています。

「主人公とヒロインが仲良くなってほしいな」と思ってホンワカしながら読む作品だと思います。



世界観

中世ヨーロッパ風の架空の世界が舞台です。

神と呼ばれる人智を超えた生物が実在していたり、悪魔憑きという邪悪な存在がいたり、人外の生物に対して排他的な教会が力を持っていたり、そういった世界観です。



そして、特筆すべきは「商取引」という世界観です。

主人公は町から町を渡り歩き、商売を行う「行商人」です。
主人公の一人称視点から語られる世界は、すべて商売に結びついたものです。
貸し借り、損得勘定、腹の探り合い。
剣と魔法のファンタジーではありませんが、主人公は交渉で戦うわけです。


キャラクター

主要なキャラクターは主人公とヒロインです。

この作品では、明確な敵キャラが出てきません。

それは、「商取引」という世界観の中では、敵は「利害関係が対立する商売敵」であって、「悪」ではないからではないでしょうか。


主人公

主人公は「一般人」です。
商売の才能がめちゃくちゃすごいわけでも、特別な能力を持っているわけでもなく、平凡な「行商人」です。

夢は「自分の店」を持つことです。


ヒロイン

ヒロインは「特別」です。
豊穣の神であり、人ではなく狼です。

何百年も生きている存在であり、基本的には主人公よりも経験豊富で知恵があります。
何百年も一人で生きていたため、「一人は寂しい」と感じ、「故郷に帰りたい」と思っています。



主人公は、行商人であるがゆえに、定住する生き方ができません。
それゆえに、ヒロインと同じく「一人は寂しい」と思っています。
主人公にとって「自分の店」もつことは、「自分の居場所」を確立し、一人じゃなくなることなんですね。


主人公とヒロインは、「一人は寂しい」という共通の悩みを抱えています。


構成

『狼と香辛料』は、目次を見ると8つの章に分かれています。

それぞれの章ごとの展開をできるだけ簡単に記述しました。


序幕

物語は、架空の文化を描写するところから始まります。



この村では、見事に実った麦穂が風に揺られることを狼が走るという。

―狼と香辛料から引用



「狼」と「麦」という一見してかみ合わない組み合わせから、農耕と結びつきながら豊かな文化を持つ世界観を連想します。


第一幕

ヒロインが主人公の前に現れ、奇妙な関係での同行者となるまでが描かれています。

そして、ヒロインが何を望み、何に怒り、何に悲しむのかという感情豊かな魅力が伝わってくる場面です。



私がすごいなと思ったシーンが、ヒロインが服を着るシーンです。

ヒロインは、全裸で登場します。
そして、全裸のまましばらく会話が続きます。びっくりです。
「いつ服を着るんだろう」とモヤモヤしながら読み進めていくと、やがてヒロインは、主人公の荷物を漁って勝手に服を着てしまいます。

このシーンに、「服を貸す」「服を借りる」という信頼関係がまだ出来上がっていない2人の関係性がうまく表れているように思いました。

しかも、異性が自分の服を着るというシチュエーションもいいですよね。


第二幕

主人公に、儲け話が舞い込んできます。

明らかに怪しい儲け話であり、事件の展開を予想させます。

また、主人公とヒロインが、第三者と絡むという描写が入ってきます。


第三幕

物語の主要な舞台である、そこそこ大きな街に到着しました。

ヒロインが、知恵と経験を活かして主人公の得意分野である商売の場で活躍します。

儲け話についても、主人公が自分から動き始め、展開していきます。


第四幕

ヒロインが主人公の前で弱さを見せます。

また、ヒロインが主人公のための命を懸けて行動し、敵に捕まってしまいます。

単なる商売の話が、暴力沙汰になってきました。

急展開します。


第五幕

主人公が、ヒロインを救うために交渉バトルに挑みます。

そして、交渉だけではなく、体を張って行動します。

「商取引」が主な話なので、体を張っての行動の場面は短めです。

無事にヒロインを救出。

ここで真の黒幕が判明します。


第六幕

主人公とヒロインの逃避行。

絶対絶命のピンチを前に、主人公は命を懸けてヒロインを守ろうとします。

しかし、主人公は強くもなんともないのであっさり負けてしまいます。

ヒロインが狼の本性を発揮して敵を撃破。

主人公とヒロインにすれ違いが発生しますが、これを解決できないまま、主人公は重傷のために気絶します。


終幕

主人公が覚醒。

事件の事後処理の経過を聞かされます。

主人公とヒロインは和解し、2人は旅を再開します。ハッピーエンド。


さいごに

いろんなところに伏線がちりばめられていて、読んでいて気持ちのいい作品でした。

物語の主役は、やっぱり主人公とヒロインなんだなと改めて思いました。

世界観の設定や、「商取引」という難しいテーマであるにもかかわらず、それらはすべて主人公とヒロインの魅力を引き出すための道具でしかないのかなって!

私もいつか、こんな素晴らしい作品を書いてみたいですね!